今月の1枚:春セメスターも半ばです。

 春セメスターも折り返しですね。4月からの新生活、5月の大型連休と生活リズムが乱れがちな時期でしたが、ようやく落ち着いてきたころでしょうか。今月の1枚は物理実験授業の様子です。この授業では基礎的な実験を通して装置の扱い方やデータのまとめ方、レポートの書き方を身に着けることを目的にしています。ほぼ毎週レポート課題が課せられるハードな科目です。皆さん頑張って! 

物理学科に入学を予定している皆さんへ

こんにちは。物理学科学科長の藤城です。春の気配が濃厚となり、入学の準備を進めている頃と思います。首都圏では新型コロナウィルス感染症の感染拡大は、まだ予断を許さない状況と思いますが、物理学科では大きな状況の変化がない限り、ほとんどの授業が対面で行われる予定です。対面で授業が受けられるように準備をしてください。

新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止には、ワクチン接種が有効であると考えられますが、ワクチン接種については以下のように考えています。

「物理学科では、面接授業に参加する際には、新型コロナウィルスワクチンを接種して欲しいと考えています。接種の有無を問うことはありませんが、未接種の方は機会を見つけて接種を検討してください。」

一方で遠隔で受講する授業も一部にありますので、PCやWi-Fi環境の整備もお願いします。ただし、遠隔での受講の準備は慌てる必要はありません。PC等に不慣れな人は入学後に相談をしてください。また、PCについては以下のページも参照してください。

http://light.sp.u-tokai.ac.jp/archives/1822.html

4月初旬から入学行事、ガイダンス行事があり授業開始へと続いていきます。大きく環境が変化しますので、体調に留意をして過ごしてください。4月にお会いできることを楽しみにしています。

大学院生が筆頭著者の論文が掲載されました。

物理学科出身で現在は理学研究科の修士課程に在学している塚原さんと小田切さん(新屋敷研究室)が筆頭著者の論文が学術雑誌に掲載されました。

塚原さんが筆頭著者の論文”Dielectric relaxations of ice and uncrystallized water in partially crystallized bovine serum albumin-water mixtures”はRoyal Society of Chemistryが発行する学術雑誌”Physical Chemistry Chemical Physics”に掲載されました。この論文では広帯域誘電分光法を用い、低温下で凍結するタンパク質水溶液中の氷や不凍水の誘電緩和を観測し、その関係や特徴を明らかにしました。塚原さんから「コロナ禍により不便も色々とありましたが、大学院での研究活動の集大成として学術論文を掲載することが出来ました。新屋敷先生にはもちろんのこと、ご指導ご鞭撻を頂いたResearch Group of Molecular complex System(RGMS)の先生方や学生の皆様にも心から感謝しています。」とコメントを頂きました。

Tatsuya Tsukahara, Kaito Sasaki, Rio Kita, and Naoki Shinyashiki
“Dielectric relaxations of ice and uncrystallized water in partially crystallized bovine serum albumin–water mixtures”
Physical Chemistry Chemical Physics, in press
DOI: 10.1039/D1CP05679D

小田切さんが筆頭著者の論文”Interfacial polarization of in vivo rat sciatic nerve with crush injury studied via broadband dielectric spectroscopy”はPLOSが発行する学術雑誌”PLOS ONE”に掲載されました。損傷した神経の再生候補である電気刺激の適切な条件を見つけるために、広帯域誘電分光法を用いた神経インピーダンスの研究が、新屋敷教授の研究室と京都大学の共同で行われ、損傷の有無による界面分極に起因する誘電緩和強度の違いを明らかにしました。その成果をまとめたのが上記の論文です。小田切さんから「他大学の他分野の方々と研究をできたことは、自分の知識や経験を広げる貴重な機会となりました。また、論文が出版できたのは、新屋敷先生、京都大学の先生方や学生、研究室の先輩方のお陰です。感謝しています。」とコメントを頂きました。

Risa Otagiri, Hideki Kawai, Masanobu Takatsuka, Naoki Shinyashiki, Akira Ito, Ryosuke Ikeguchi, Tomoki Aoyama
“Interfacial polarization of in vivo rat sciatic nerve with crush injury studied via broadband dielectric spectroscopy”
PLOS ONE 2021;16(6): e0252589.
DOI: 10.1371/journal.pone.0252589

学生による研究紹介 宇宙線反粒子探索計画GAPSの開発

宇宙線反粒子探索計画GAPSの開発を行っている、物理学科4年生河内研究室の大山千晶さんによる研究紹介です。

宇宙線反粒子探索計画(GAPS)は日米伊を中心に約60名が参加する南極周回長時間気球実験です。宇宙線中に微量に含まれている反粒子(とりわけ未発見の反重陽子)の高感度探索を通じてダークマター等の初期宇宙物理の課題に迫ることを主目的としています。
私はJAXAに赴き、気球フライトに耐えうる冷却システムの開発を主に行いました。実験結果が明らかにおかしい時、原因解明の為に実験装置のパーツや使用した液体の温度、温度センサー等を一から確認しなければならなかったことは大変でしたがやりがいがありました。
基本的な作業(実験装置準備から結果を出すまで)のほとんどを自分に任せてもらえましたが、ミスが入ってしまうこともありました。しかし、ミスをしたとしてもちゃんとこういう理由があるから注意が必要なんだよ、と学生目線で一緒に考えていただいたことや、目立たない部品の実験でも試験機を動かすためには必要不可欠なものであり、国際的なプロジェクトの一員として名前が載るんだよと言われたことが印象に残っています。
このように、東海大学ではJAXAと共同で研究を行うことが出来ます。大学には無い研究施設や研究員の方と実際に関わる経験はとても貴重であり、実験以外にも目的に対する考え方やデータのまとめ方を自分なりに見つけ学ぶことが出来ると思います。

修士修了発表を行いました。

2022年2月18日に「2021年度 理学研究科物理学専攻 修士修了発表会」が開催されました。テレビ会議システムを使った遠隔形式での研究発表が行なわれました。皆さん素晴らしいご発表でした。大学院生が行なった発表のタイトルを一部掲載します。

  • 高次元ブラックホールの蒸発
  • 量子マスター方程式によるDissipative-Landau-Zenerモデルの解析
  • トーリックCalabi-Yau 多様体とIIA 型超弦理論における非可換ゲージ理論の実現
  • 魔方陣とディラックフレーバーニュートリノ質量実行列
  • 非接触プラズマに曝露 したダイバータ材料の表面改質・ 重水素吸蔵 特性の基礎研究
  • 電波銀河M87 からの超高エネルギーガンマ線放射
  • 温度勾配下における単糖水溶液の熱拡散現象
  • 非集光太陽光励起レーザー
  • 部分的に氷結したウシ血清アルブミン水溶液中の氷および不凍水の誘電緩和

大学の授業で使うパソコンについて(2022年2月)

「大学の授業で使うパソコンについて(1月14日掲載)」のお知らせが東海大学Webサイトに掲載されています。新入生または在学生でパソコン購入予定の方は参考にしてください。一部製品については東海大学の学生限定アカデミック価格の案内があります。詳しく知りたい,もっとよく教えてほしい場合は,理学部物理学科にお問い合わせください。

https://tips.u-tokai.ac.jp/docs/shinnyusei/spec20220114.htm

卒業研究発表会を行いました。

2022年1月末に,テレビ会議システム、Zoomを使った遠隔形式での卒業研究発表が行なわれました。皆さん素晴らしいご発表でした。卒業生が行なった発表のタイトルを一部掲載します。

  • 離散フーリエ変換による協和音・不協和音の解析
  • 矮小楕円銀河からの GeV ガンマ線観測によるダークマターの質量と衝突断面積 に対する制限
  • 宇宙線反粒子探索計画 GAPS 用冷却システムの開発 ―接触熱伝達の改善に向け たフィラーの評価―
  • Fermi 衛星による活動銀河核の観測
  • 先進ダイバータを模擬した湾曲発散磁場における非接触プラズマの挙動
  • 非線形光学結晶による第 2 高調波発生において波長変換効率と出力の向上に関 する研究
  • 光学計測による音響波検知の基礎的研究
  • 高分子水溶液の粘性挙動に及ぼす尿素添加と温度変化の影響
  • 示差走査熱量測定によるマンニトール/ソルビトール混合物のポリアモルフィ ック転移に関する研究
  • 中学校理科物理分野のデジタル教材の開発
  • TensorFlow を用いた波動関数の計算
  • Massless Spin1 粒子と Ward 恒等式
  • 固体色素増感太陽光励起ファイバーレーザー
  • 場の量子論による電子の異常磁気モーメントの導出
  • マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いたスリザーリンクの数値解法
  • バリオン数の保存について