卒業生からのメッセージ2015

名前: 宮下 靖史

最終卒業年: 東海大学大学院 理学研究科 物理学専攻 2003年度卒業

職業: ヤフー株式会社 勤務 (技術系管理職)

物理学を通じて学んだ論理的な思考は理工学系の基礎

私は宇宙への興味と好奇心から物理学科へ入学し、宇宙物理学を専攻して大学院まで進みました。今は日本有数の通信量を誇るIT系企業で社内の全サービスの中心となる様なコアプラットフォームのシステムを運用・維持・管理するシステムエンジニアとしてプロダクトの責任者をしています。

宇宙物理は広大な宇宙全体の成り立ちや構成を考えるものから、一つの天体にフォーカスして星の一生を研究するものまで多岐にわたります。局所的な視点で深く掘り下げることや時には全体を俯瞰して考察する様な物事のアプローチをする必要があります。物事の全体から詳細までを考え、そしてそれらを理解してゆくためには、「何故そうなるのか」「どうしたらこうなるのか」を徹底的に考え筋道だった論理を組み立てる必要があります。日々の学習で身に付けた論理的な思考は、現職において担当している全国に分散する壮大なシステムを理解し管理するための力強い武器となっています。

また宇宙物理という一般には馴染みのない分野について語る際には、分かり易く話すための説明やプレゼンテーションを行う必要があります。在学中には卒業研究や学会など人前での発表を通じて自身の研究を説明する機会を得ることができ、国際会議への参加などにより世界中から集まった研究者たちの発表を見聞きすることでプレゼンテーションの能力を磨くことができました。物理学科と物理学専攻において得られた知識や経験には、理工学系の分野で基礎となるものが数多くあります。受験生の皆さん、物理を学ぶことで得られる私のような大きな成長のために、東海大学物理学科へ是非お越し下さい。

電波銀河 IC 310 の中心巨大ブラックホール近傍で起きた超高エネルギーガンマ線爆発現象を観測しました

物理学科の西嶋恭司教授、櫛田淳子准教授、大学院生の小谷一仁さんが所属する10カ国160名からなる国際共同研究チーム(MAGIC)は、地球から2.6億光年離れたペルセウス座銀河団にある電波銀河IC 310の中心で起きた超高エネルギーガンマ線の巨大爆発現象を観測し、日本を含む6カ国で同時記者発表を行ないました。この爆発現象において観測された超高エネルギーガンマ線放射の激しく速い時間変動は、中心の超巨大ブラックホールの大きさから理論的に推定される時間変動よりはるかに速く、これまでの理論モデルでは説明できない新しい発見です。グループは、高速回転する強い磁場を持ったブラックホールの極付近の非常に狭い領域で粒子が加速され超高エネルギーガンマ線が放射されるという新しいモデルを提案しました。今後、謎の多いブラックホール近傍の物理現象の解明に弾みがつくものと期待されます。

発表雑誌: Science Express 11月6日
論文タイトル:Black hole lightning due to particle acceleration at subhorizon scales
著者:The MAGIC Collaboration, J.Aleksic et al.

10.1126/science.1256183

東大宇宙線研究所からのプレスリリース:

http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/2014/11/10140000.html

IC 310の中心の超巨大ブラックホール近傍における 超高エネルギーガンマ線放射メカニズムの模式図 (The MAGIC collaboration 提供)

東海大学同窓会 第14回ホームカミングデー

東海大学同窓会 第14回ホームカミングデー

【日 時】 2014年11月3日(祝・月) 午前10:00~午後4:00
【会 場】 東海大学 湘南キャンパス

物理学科では、コムスクエア2階の理学部展示ブースでスーパーカミオカンデの特集をします.
ぜひお越しください。

ホームカミングデー
http://www.kouyu.tokai.ac.jp/dousoukai/hcd/index.html

物理学科同窓会総会開催

2014年度東海大学理学部物理学科同窓会総会開催のお知らせ

ホームカミングデーのお知らせに同封させていただきましたように,物理学科同窓会では,下記の通り2014年度同窓会総会を開催します。万障お繰り合わせの上、久方ぶりに在学中のことを思い出していただきたく御参加下さいますよう御案内申し上げます。

2014年度物理学科同窓会総会

日時:11日月3日(月・祝) 11 :30~12:30
場所:東海大学湘南校舎18号館6階
議題:
1. 理学部および物理学科50周年について
2. 物理学科同窓会ホームページの活用について
3. その他
*次の新同窓会サイトに18号館の校舎内地図を掲載しております。
http://www.u-tokaispd.org

物理学科同窓会会長 八木原 晋
同事務局長     藤城 武彦

卒業研究・修士論文中間発表会がおこなわれました

7月23日に理学部物理学科の4年生,修士2年生の卒業研究・修士論文中間発表会がおこなわれました。

卒業論文のタイトル(抜粋)

  • 色素増感型太陽光励起ファイバーレーザー
  • 半導体励起アルカリレーザー(DPAL)の自然対流冷却
  • ガンマ線連星系 PSR B1259-63/LS2883の流体シミュレーション~密度分布、異方性の影響~
  • 近赤外3色同時観測によるホットジュピターの大気観測
  • 宇宙線気球実験GAPS搭載に向けた冷却装置OHPの開発~可視化による挙動の確認~
  • ツイッター構造をもつイオン液体は水溶液中でどのようにふるまうのか?
  • 誘電分光法によるデキストランDMSO溶液の分子ダイナミクス
  • ポリマー溶液を用いた熱非平衡下での拡散現象
  • ソレー効果から考える洗濯のり主成分の水溶液物性
  • 誘電分光法を用いた多糖類と不凍水の分子ダイナミクス解析
  • 初期宇宙のレプトン非対称性とダーク放射
  • MeVダークマターの質量制限と有効ニュートリノ数
  • Geant4を用いたがん治療の放射線シミュレーション
  • 核医学用ガンマ線検出器への応用を考えた光検出器MPPCの基礎実験
  • 1-propanol水溶液の分子ダイナミクス
  • Poly(vinyl pyrrolidone)と水分子の衝突~ガラス転移と協同運動~
  • 誘電分光法を用いたゼラチン水溶液の水のダイナミクス
  • 純水の氷の誘電緩和の再現性
  • Poly(vinyl methyl ether)水溶液を用いた協同運動性に関する研究
  • Androidスマートフォンにおける物理量測定
  • 広帯域光源を用いたシングルモードファイバーの分散測定に関する研究
  • オーロラ粒子の加速機構
  • 核融合周辺プラズマ計測のための高性能質量分析器の開発
  • 色一等級図と進化モデルの比較による球状星団NGC2419のBlue Stragglarの同定
  • μ粒子の寿命測定とFe,Pb原子核の捕獲確率の推定
  • Fermi衛星による矮小楕円銀河からのダークマター起源ガンマ線の探索
  • 色一等級図と進化モデルの比較による散開星団M44の年齢推定
  • BSアンテナを用いた電波望遠鏡の開発
  • 音速を実感できる教材の開発 ~散水ホースを用いた音速測定~
  • 水の器の測定 ~油の器との比較~
  • 核子と中間子の形状因子について
  • 原子核の安定性と崩壊
  • 原子核の質量公式と結合エネルギーのパラメーター化
  • グラフェンによるフェムト秒第2次高調波の発生
  • He-La細胞の時間領域計測と有限要素法による測定電極の解析
  • 誘電分光法による脂質ペプチド系ヒドロゲル化剤の動的挙動と構造化の仕組み
  • 誘電分光法によるリポソームおよびその凝集構造変化の解析
  • 行列による素粒子変化の記述
  • 中赤外光源を用いたホルムアルデヒドの吸収分光に関する研究

市民科学講演会

日本物理学会第69回年次大会が東海大学湘南キャンパスで行われる予定です。
東海大学物理学科の先生,学生さんが大会の運営に協力しています。

http://jps2014.sp.u-tokai.ac.jp/

学会参加者だけでなく,一般向けの市民科学講演がおこなわれます。
宇宙や研究開発に興味ある方はぜひご参加ください。

市民科学講演会

日時: 2014年3月30日(日) 14:00 ~ 16:30 (会場13:30)

会場: 東海大学湘南キャンパス 松前記念館 地下1階講堂
講演内容:
基礎研究と科学技術 ~共に究極の謎に迫る~

「宇宙に終わりはあるか」 村山斉 (東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構,機構長)

「源は研究開発」      川村隆 (株式会社 日立製作所,会長)

定員: 490名

入場料: 無料 <先着順>

http://jps2014.sp.u-tokai.ac.jp/lecture/